【珈琲/カッピング】Comeyasu Coffeeでカッピング体験をしてきた話

LEISURE

滋賀県守山市にあるcafe&roasting comeyasu 米安珈琲焙煎所は滋賀県では数少ない(?)いわゆる自家焙煎のロースタリーで、先日東京で訪れたカフェバッハで修行されたマスターが営んでいる喫茶店です。

閉店後のお店にお邪魔します。

そんなcomeyasuでは年に4回、珈琲の歴史や流行・豆の種類や選び方・抽出方法などを題材としたカフェスコラを開講されており、全て受講した参加者はアンバサダーとして特別講座に参加できる仕組みになっています。(完全に予断ですが、スコラ:scholaはラテン語で学校という意味です)

今回、アンバサダーとなって初めて特別講座に参加して「カッピング」の概要を学び、体験してきました。

きちんと資料まで用意していただけます。

近年、珈琲は産地だけで評価されるのではなく、きちんと品質や個性を評価して価値を決定しようというムーブメントがあり、その価値を決定する手段として「カッピング」があります。
「カッピング」は浅煎りの豆を粗挽きにし、通常より高めの湯温(90℃台)に浸漬させ、抽出した珈琲液の味、香りなどを点数付けする。言わば珈琲のテイスティングに当たる評価方法です。

お湯を注いだ途端に、それぞれ個性的な香りが広がります。

具体的な手順としては

①粗挽きにした豆の香りの評価(ドライ)。
②お湯を注ぎ、その際の香りの評価(クラスト)。
③4分浸漬した後、表層に浮いている珈琲粉を崩した際に一気に香りが立ちます(ブレイク)。
④ブレイクした粉を丁寧に取り除き、ある程度冷めてきてからカッピングスプーンに珈琲液を取り、液をすするようにして口の中に霧状に広げて、味や香り、後味などを評価する。

まずは点数付けといった難しいことは傍に置いて、個性の違う4種類の豆を使ってカッピング。
香りや味について自分なりに表現してみようというワークショップ。

私のそれぞれの珈琲評はこんな感じ…

A.軽やか・ナッツのような香ばしさ・冷めるとミルクチョコ的な甘味
B.爽やか・フルーティーな酸味・後に残らないすっきりとした酸味
C.シンプルな味わい・冷めると後を引く酸味
D.深く芳ばしい・ヘーゼルナッツ・華やかな苦味

味や香りを自分の言葉で評価するのはとても難しく、珈琲評で今まで聞いたことのある表現をフル動員して書き出しました。

ちなみにそれぞれの珈琲はどんな珈琲だったかというと…

A.ブラジルウォッシュド中煎
B.エチオピアイルガチェフェ
C.某珈琲チェーンMブレンド
D.マンデリン

もっと外すと思っていたのですが、私の珈琲評も意外と的を射てました笑

ちなみに、詳評をだらだらと書くと…
A.はブラジルとしては珍しいウォッシュドでの精製で(普通は水を使わないナチュラル)、柔らかい味わいになるとのこと。
マスター曰く、スイートポテトをイメージしているらしいです。
ナッツの香ばしさとミルクチョコ的な優しい甘味というのはマスターの狙い通りの感じ方かな?

B.は個性的なので口にした際に「エチオピアだ笑」となりました。
サードウェーブど真ん中な浅煎りで華やかな味わい。後述になりますが、カッピングで点数を出しやすい珈琲はこういった「香る」珈琲だそうです。

名古屋の喫茶店でエチオピア イルガチェフェを飲んだ時の話

C.は意地悪問題。見ている方はクラストの際の膨らみ方で余り高価な珈琲で無いと見抜いていたみたいです。ただ、他の珈琲の半額以下ということを考えると凄い健闘だと思います。香りも味も良く言えばシンプル(悪く言えば単調)。ただ、冷めた後に口の中に残る酸味は明かに他のスペシャルティ珈琲と比較すると残念。

D.インドネシアの豆であるマンデリンは雨の多い土地柄、乾燥に手間と時間をかけられず、土の上で直接乾燥させることが多く、豆には土の味が染み込んで独特な深みのある複雑な味わいになるそうです。
そのため、浅煎りには向かずカッピング向きでは無い損な豆…ただし日本人はこの深みが好きで、マンデリンは人気の豆。他の参加者の中にはゴボウという表現をされていた方もいて、脱帽。すごい表現力です。

これがクレスト!

ここまできたらいよいよ本番。
点数をつけてのカッピングです。
カッピング項目は8項目、各8点満点で64点満点。
素点として+36点を加えた100点満点で評価されます。
一般的には80点を超えるとスペシャルティコーヒーと名乗り、84点を超えるとカップオブエクセレンスを受賞するような珈琲になります。

コーンスープを飲みたくなるようなカッピングスプーン

各項目は以下の通り。

①香り:その名の通り、嗅覚で感じる香り意外にも口にした際に広がる風味もこの項目で評価されます。
②後味:カッピングでは口にした珈琲は飲まずに吐き出すのですが、その後に残る余韻。爽やかに消えるものや甘さが残るもの、ギシギシとした嫌な感覚が残るものなどがあります。
③酸味:酸の強弱は別項目で、刺さるような酸味なのか明るく軽い酸味なのか、質感を評価します。
④質感:英語ではmouth feel濃さやオイリーな感触や舌触りなど珈琲によって感じられる感覚が好ましいのか。
⑤バランス:その名の通り、全体の調和。突出せず、足りないことなく。
⑥クリーンカップ:これが難しい!雑味の有無というニュアンスが一番近いかな?
⑦甘味:これはシンプルに甘味を感じるかどうか。
⑧オーバーオール:総合評価です。
日本人はいわゆる「コク」の文化なので複雑な旨味の織りなす珈琲を好むのですが、そういった豆は上記の評価項目ではなかなか点数が出ません…
先程のマンデリンもそういった珈琲の代表格です。
珈琲は「アロマ」な欧米文化なので、エチオピアのような香り高い豆がより点数を稼ぎやすくなる評価観点になっています。
カッピングスコアシート

今回は2種類の豆についてカッピングを実施して、実際にスコアシートに点数を記載します。
複数の豆を同時にカッピングするときでも、ひとつひとつの豆に集中して絶対評価で点数をつけていくのがコツだそうです。

ドライの状態からAは香りが強く、Bは没個性でした。
分かりやすく差を付けてきたなというのが第一印象。
さらにクラスト・ブレイクでも同様の印象のまま…
カッピングしてみると意外とBも飲みやすく感じましたが、冷めてくると特に質感と後味がイマイチ。
対照的にAは常に香り高く華やな香りで、すっきりとした飲み口。

詳細は割愛しますがAは84点、Bは58点と評価しました。

こちらも答えはA.がスペシャルティ珈琲のガテマラボルサHLG、Bが珈琲チェーンJのブレンド珈琲。
ちなみにマスターの採点ではAが84点、Bが54点とのこと。
いい線行ってました!笑

この問題も比較対象が極端でしたが、やはり美味しい豆とそうでない豆の差は確かに存在していて、その差は漠然としたものでなくてしっかりとした基準があるということを学べた貴重な体験でした。

comeyasuのカップは全てwedgewood

カッピングでは珈琲は口に含むだけで飲み込まないのでずっと物足りませんでしたが、講座の最後にきちんと淹れていただいたガテマラを頂きました。
頭を使って珈琲を味わうのも楽しいですが、何も考えずにその魅力を受け入れる楽しみ方もやはり素晴らしいです。

層状な断面が美しい…

珈琲と一緒に楽しむのはバイエルンの銘菓、「プリンツレゲンテントルテ」。
層をなす生地は薄焼きを重ねる製法で作ることで火の入ったクラストが多くなり、芳ばしい味わいが珈琲と非常に良く合います。

今まで何気なく味わっていた珈琲の美味しさとは何か?
分かっているようで分かっていなかった珈琲の魅力に気付けた1日でした。

この記事の写真は全てこの組み合わせで撮影しています!味わい深い写りが大好きです。

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