【書評】言葉ダイエット

RANDOM NOTE

昔はSFやミステリ、魔法と冒険の物語。そんな本が大好きで、体を動かしていない時は常に本を読んでいる少年でした。

時とともに読書量は減っていき、ほとんど本を読まない青年期を超え、おじさんとお兄さんの境目の年頃になって自己啓発系の本を手に取る機会が増えてきました。

今回はそんな本の中から『言葉ダイエット』が面白かったので、備忘録を兼ねて紹介します。

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1.「させていただきます」禁止

手に取るきっかけは、本書のワンフレーズ「させていただきます」禁止を紹介した知人のFacebookの投稿でした。

それから意識して自分のビジネス文章を見返すと「させていただきます」のオンパレード。

酷い時には「させていただきたいと存じます」まで現れます。なんとか相手の神経を逆撫でしないように敬語を重ねていって、意味のない慇懃無礼な文章が出来上がります。

仕事より自分が嫌われないことを優先している」ために使われる湾曲表現。文章を助長にし、分かりにくくする元凶です。

胸に手を当てるまでもなく心当たりしかありません。八方美人な性格もあって、とにかく丁寧に。不快な気持ちにさせないように。そう考えて書いた文章がより相手を不快にしていた可能性が高いのです。

2.「横書き」であること

そんな紹介に心惹かれ、買う気満々で書店を訪れました。しかし、実際に手にとって購入を躊躇った点が一点。それが、「横書き」の書籍であるということでした。

普段読みなれている本は縦書きのものばかり。読み慣れない横書きの本を購入するには少しの勇気が必要でした。

ただ、会計待ちをしている時間に「自分が書く文章は横書き」だと気付きました。このブログは言うに及ばず、仕事で書く報告書も全て横書きです。

この本に掲載されたたくさんの添削例。横書きであることでより身近に感じ、添削内容も腑に落ちやすくなっています。

おそらく著者の橋口さんはそこまで考えて執筆されたのだと思います。

3.「読みたくなる文章」とは

相手は自分の文章を読みたくない」という前提で書きましょう。読み終えてみると僅か17ページ目にある一文が伝えたいことの全てのように感じられます。

SFやミステリ、魔法と冒険の物語。そんなドキドキとワクワクが非日常に連れていってくれる内容なら話は別です。しかし、私が人に何かを伝えたくて書く文章は日常そのもの。分かりやすく伝えるためには相手が読みたくなる必要があります。

初めに紹介したような湾曲で分かりにくい文章が読みたくない文章の代表だとすると「読みたくなる文章」とは一体どのような文章でしょう?

それは「発見のある文章」です。

本書では発見を次の2種類に分けて紹介しています①相手の中にある事象に異なる角度から光を当てて得られる主観的発見。②相手の中にない事象を紹介する客観的発見。

ここでさらっと一例を上げられる文章力があればいいのですが、持ち合わせておりません笑

ただ、面白い・発見のある文章を書くために本書では「元ネタ」を利用することを推奨しています。『読みたいことを、書けばいい』の著者 田中泰延さんとの対談コラムでも“読みやすく書きたいのなら、読みやすい文章に触れるべきなんです。“と綴られています。

徹底して相手の立場に立ち(横書きで出版する思いやり)、簡潔に何かを与えることができる文章。書けるようになるには時間がかかると思います。それでも文章作成時の意識改革と良文に触れる機会を増やすことで「読みたくなる文章」を書けるようになろうと思わせてくれる良著でした。

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