初夏に朧に、でも鮮やかに光りながら飛び交う蛍は誰もが知っている昆虫でしょう。ただ、実際にその目で見たことがある人は存外に少ないのではないでしょうか?
かく言う私もその中の1人で、今まで蛍を見たことも、もちろん写真を撮ったことはありませんでした。
富山県の片田舎に引っ越したので折角だから蛍が見てみたいと思い、蛍の季節を待って地元出身の職場の諸先輩にヒアリングすると数を問わなければそこら中にいるとのこと。と言うことで、取り敢えずは自宅からほど近い蛍の名所の高瀬遺跡へ向かいました。
Day1
高瀬遺跡の中は決して広くはないですが、綺麗に整備された公園です。小川には菖蒲が咲き誇り、その小川を取り囲む様にパターゴルフのホールがあります。この小川に蛍が飛べば絵になるなと思いながら歩いていたのですが、結論から言うとここには飛びませんので要注意。蛍が多く飛ぶのは公園の南側の小さな川で、公園から東側に400〜500mの範囲で特に多く蛍が見られます。
蛍撮影の難しいところは蛍が飛ぶ前に、飛んだ姿をイメージしながら構図を決めかければならないところ。実際に蛍を見たことが無い私には絶対にできません。蛍が飛ぶ量も分からないので、望遠ズームをセットして少なければ圧縮効果で多く見せようなんて考えていました。さらに、場所もよく分からないので川が奥まで見渡せる橋の上に三脚を立てて蛍を待ちます。
教科書通りに、日が沈みきる前に絞ってアンダー目に背景を撮影しました。鬱蒼とした小川に蛍が舞う姿が撮れればいいというイメージでこんな構図を選択。

そして、実際に飛んだ蛍が飛んだ場面を20枚ほど比較明合成した写真がこんな感じ。

もうね、完全に蛍舐めてました。明るさも、量も想像以上で。これはこれでいいのだけど、非常にごちゃごちゃした写真になってしまいました。
奥の草むらが妙に明るくて目立ってしまうとか、左手前の木は暗くなると街頭に照らされて浮き上がってしまう(比較明合成時に明るさ調整しました)とか、実際に完成する前にはイメージできなかった問題が沢山。
リベンジを誓って、帰る前に蛍の飛んでる場所をチェックして次回のロケハンをします。もう、小川どころかそこらへんの田んぼにも鮮やかな蛍光がちらほら見えるくらいで田舎すごいなと。ただ、これでも地元のご婦人曰くかなり少ない方だそうです。
Day2
仕事も早々に切り上げて、自宅の電気圧力鍋にでカレーを仕込んで前回見つけたスポットに向かいます。
前回の反省を踏まえて標準ズームをセットして、川の土手に咲く紫陽花を前景にして背景に蛍を写すイメージで三脚をセット。鬼の様に蚊に刺されながらもじっと蛍が飛ぶまで待機します。
ですが、全くこない。
前後10mくらいには大量にいる蛍がなぜか自分の前だけ全く飛びません…ウォーキングしているおじさんに「そこ全くこないでしょ!場所写ったら?」と心配される始末。と言うわけで諦めて帰って泣きながらカレー食べました。
Day3
Day1がごちゃごちゃと暗い写真で、Day2に辛い思いをしたこともあり、明るい写真が撮りたい気分で臨んだDay3。天気や予定の都合でおそらく蛍撮影に臨める最終日。
前回と同じく標準ズームをマウントして挑みます。この日は割と鮮やかに夕日が見れそうな予報だったので、西にカメラを向けて背景に夕日を入れるつもりで構図を設定。

この日はめちゃくちゃ風が強く、蛍が飛ばないかもしれないとかなり心配しました。ただ、蓋を開けてみると20時すぎには風もおさまり蛍も飛び出しました。

望遠で撮影した時よりもすっきりと蛍と小川、夕日、そして田舎の田んぼを写すことができたと思います。
ただ、背景の住宅の灯りが日が暮れてから点灯したり、風が強すぎて前景の木がブレてたりとやっぱり難しかったです。
最後に
とても難しくて、これだ!という写真は一度も撮れなかった蛍ですが、撮影していて非常に楽しい被写体でした。
一枚一枚現像して、重ね合わせたときに初めて完成する感じがとても面白い。感動が時間差でやってくる感じが魅力です。
蛍のシーズンは終わってしまいましたが、来年もタイミングを見つけて是非撮りに行きたい。
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