「デニム」とは一般的に経糸にインディゴの先染め糸、緯糸に未晒し(白)糸を使用して製織したツイル生地の事を指します。
インディゴ染色では繊維中心部まで染料は入らず、表面のみが深い藍色に染まった状態になります。このため、着用に伴って表面の染料が落ちる事で色落ちが発生し、着用者のライフスタイルに応じたオンリーワンのデニムが生まれます。
学生時代はこのオンリーワンという響きに取り憑かれ、様々なブランドのデニムを試行錯誤しながら色落ちさせていました。
社会人になってデニムを履く機会も減り、結婚と同時に色々と手間のかかるデニム趣味も卒業。卒業証書代わりに大好きなユニクロで『ストレッチセルビッジスリムフィットジーンズ』を購入しました。
(なので、着用前の写真や色落ち過程の写真は一切ないです。)

作りはシンプルでしっかりとした旧式織機で製織されたセルビッジデニム。飾りっ気のない外観はA.P.C.のデニムを彷彿とさせます。
ただし、A.P.C.や他のブランドのセルビッジデニムと異なり、ユニクロは2%のPUが交織されています。
以前の記事でも紹介しましたが、PUは生地を収縮させるために用いられます。この為、ユニクロのデニムはスリムフィットであっても生地が体に追従して、動きやすさが確保されます。
色落ちを楽しんでいた頃はPU混なんてものは外道で、デニムもどきだと思っていました笑
しかし、ほとんど意識せずに2年ほど履き込んだデニムもどきは予想以上に表情豊かに色落ちしてくれましたので紹介したいと思います。
そしてもどきなんて言ってごめんなさい…
1.全体像

着用期間は2年半、頻度は週2回ほどで洗濯は気になったらする(計10回くらい?)という気楽な付き合い。それでも濃淡のある色落ちになりました。
特に腰から太腿にかけてのグラデーションになってる部分はかなり好きな色落ちです。
一般的にPUは2年ほどで劣化しますので、PU由来のストレッチは失われて膝周りは生地が伸びきった(ワラった)状態になっています。

バックもこんな感じ。バッキバキというわけではないけれどパッキパキくらいのコントラスト笑
昔なら絶対しなかったのですが、右のバックポケットに携帯を入れていたのでうっすら跡が見えます。
2.ヒゲ

しゃがんだりしたときに腰回りにできるシワに沿った色落ちが「ヒゲ」。そこまでキツくないけれど、一番存在感がある部分です。
3.ハチノス

ヒゲが前部の顔なら、膝裏の「ハチノス」は後ろの顔。どちらもタイトフィットのデニムで現れやすい色落ちです。ハチノス→脹脛にかけてのグラデーションの色落ちもいい感じ。
4.下りヒゲ&経落ち

「下りヒゲ」は太腿内側にできる斜めの色落ち。タイトフィットのデニムでは出来にくい印象だったのですが、うっすらですが出てきました笑
「経落ち」は染色された経糸の太さにムラがあると太い部分から選択的に色落ちするため、経糸一本単位で白い部分が見え隠れする色落ちです。
昔は紡績技術が低かった為、均一な綿糸を作ることが難しくこのような現象が起こっていました。現在の技術であれば発生しないのですが、昔ながらの良さを出すためにわざわざこのような糸を用いているのでしょう。
経落ちができるデニムは真面目に作られたデニム。そんな印象があります。
5.最後に
デニム趣味はもうやめる。
決意を持って購入したユニクロのデニム。確か1000円割引で購入して¥2,990(税抜)だったと思います。そんなデニムがこのクオリティでした。
2年半の間履き続け、今が一番美味しい時期でこれからはどんどん痛んでいくことでしょう。美味しい時期に履きまくりたいような、別れたくないから大事にしたいようなそんな気持ちです。でも、きっとダメになる寸前まで履き続けるのでしょう。
そうしたら、購入時の決意なんてどこ吹く風、次のデニムは何を買おう笑
ユニクロ関係で割と細かい商品解説シリーズは下のリンクから、興味があれば読んでください!
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