【ユニクロ】EZYアンクルパンツを解説してみる

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久しぶりにみんな大好きユニクロの紹介記事を書いていきたいと思います。過去のユニクロ記事のリンクを貼りますので、こちらもご参考にしてください。

今回は近年続々とシリーズを拡大しているEZY系ボトムの中からEZYアンクルパンツ(ウルトラストレッチドライEX)の解説をしていきたいと思います。
※かなり細かいことを書いていますが、あくまで個人の想像に基づく内容になります。

まず、結論から言うとトラベルパンツとしてマストバイではないでしょうか?

EZYアンクルパンツは2018年モデルから1期飛ばしての購入になるのですが、かなり大幅にリニューアルされています。今回の製品は非常に気に入ったので、細かいところまで解説(レビュー)したいと思います。

驚異のストレッチ

ウルトラストレッチを謳うだけあって、驚きのストレッチを有しています。ストレッチについて語りまくる記事も書いていますので良ければこちらも読んでみてください。

簡単に分かりやすくこのストレッチを表現すると、両手で生地を摘んで引っ張るとタテ・ヨコいずれも1.5倍くらいに伸長します

ヨコ方向のストレッチ
タテ方向のストレッチ

通常、メンズのボトムスは織物で作られることが多いのですがこの商品は編物です。編物で作ることで糸のループが動き、優れたストレッチを発現することができます。

しかし、編物で作ればなんでも伸びると言うわけではありません。普通のコットンTシャツを引っ張ってみれば分かりますが、一方向にしか伸びません。これは糸が繋がっている方向にしか編物は伸びないという特徴があるからです。

つまり、この商品がタテヨコに伸びるのは秘密が隠されています。それが組成です。

色によって若干の差はありますが、私の購入した黒では73%複合繊維(ポリエステル),27%ポリエステルとなっています。
多くの人が「どちらもポリエステルなのでは?複合繊維って何?」と感じるのでは無いでしょうか。

ということで、繊維製品の評価を行う一般財団法人カケンテストセンターの指定用語集から複合繊維の定義を引用します。

“複合繊維とは、性質の異なる2種類以上のポリマーを熱溶融し、口金から押し出す際に複合して紡糸した繊維です。繊維断面が二層の貼り合わせになっていたり、芯部と鞘部で同心円状になっていたりします。”

つまり、1本の繊維の中に複数のポリマーを有する繊維のことを複合繊維というわけです。さらにポリエステルとナイロンの複合繊維であれば複合繊維(ポリエステル/ナイロン)という表記になります。

それではEZYアンクルパンツに使用されている複合繊維(ポリエステル)ってどういう意味でしょう?ポリエステルだけなら複合ではありませんよね。
実は、ポリエステルと一口に言っても、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)など様々な種類があります。つまり、これらのポリマーを複合した場合、ポリエステルしかないのに複合繊維という状態になるわけです。

余談ですが、ポリエステルの糸とナイロンの糸を別々に使用して編物を作った場合は交編と言います、織物なら交織。別々に紡糸した糸を後から合わせることは混繊と表現されます。複合繊維と検索するとこれらも合わせて複合繊維と説明しているブログがありますが、これは大きな間違いです。閑話休題。

さて、それではわざわざポリエステル同士を複合する意味が商品名にもなっているストレッチです。複合繊維として特に有名なのが東レ・オペロンテックスのT400と帝人のソロテックスです。これらはいずれもPET/PTTの複合繊維で、お互いの粘度差や加熱時の収縮の差で糸がコイルのような形状になることで優れた伸縮性を発揮します。

東レ・オペロンテックスHPより引用

EZYアンクルパンツもこの様な糸を使うことでタテにもヨコにも優れたストレッチを持つ高性能な生地を使っていると考えられます。それが3000円以下の価格で購入できるのはコスパ抜群です
(T400もソロテックスも高級品ですのでPBT/PETなど他の組合せの可能性もあります)

軽量 / ハリ・コシ

ストレッチ素材が大好きなので、ココまでものすごく長くなりましたが以降はサクサクいきます。

ストレッチに加えて、この商品の快適性に大きく寄与しているのが軽量さです。

通常のストレッチ製品には多くの場合PU(ポリウレタン)が使用されます。PUはかなり強力にストレッチ性能を付加することができます。しかし、生地の密度が上がってしまうため重くなり、風合いもテロンとした独特の風合いになります。

一方で、この商品はPUを使わずにストレッチを出しているため非常に軽量です。具体的な数字は測定していませんが、同じくユニクロのデニムと比較すると1/3~1/2の重量しかない様に感じます。

さらに、ニットと聞いて想像する様な頼りない生地ではなく、ある程度のハリ・コシも備えています。しかも、ニットですのでシワも気にならずコンパクトに畳んで持ち運びが便利。これがトラベルパンツとしてお勧めできる大きな理由です。

センタープレスが一応保持されるくらいにはしっかりした生地

快適で便利な縫製仕様

トラベルパンツとしてお勧めできるもう一つの理由がここです。

ポケットはファスナー付きで海外旅行など貴重品をポケットに入れても安心。さらに、ベルトループとインサイドゴムを併用することでキチンとした場面ではベルトを使用できるし、移動時はインサイドゴムで楽チン。加えて、スナップボタン・ファスナーベルトループは平坦で小さめの物が使われているため、寝転がっても痛くない!

至れり尽くせりで物凄く考えて作られていると思います。

着用時意外と気になる腰回りは気の利いた仕様

不安な点もある…

褒めちぎったEZYアンクルパンツですが、不満(不安)もあります。それが耐久性です。ニットは織物と違って、糸が動きやすため摩擦によって傷みやすいです。特にボトムは日常的に様々なところと擦れるので、痛みが早いのではないかと想像できます。さらに、複合繊維では2種類のポリマーが貼り付いているため、その界面が剥がれたりする危険もあります。

ただ、購入後何度か洗濯しても今のところ痛みも見当たらないので、1シーズンくらいは余裕でもちそうです。この懸念点については予想を裏切ってくれることに期待です!

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